パラリズム

初級障がい者スポーツ指導者の気づきメモ&パラリンピックやバリアフリー関連のトピック。

勤務2日目

午前、ブラインドテニスサークルのサポートということで少しだけ楽しみにしていたが、キャンセルとなり残念。

 

私の父方の祖父は全盲鍼灸師として働き、4人の子どもを育て上げた。祖母も弱視だったため、子どもたちの世話が至らなかったらしく(本人はわからなかったと思うが)、見かねた隣家のお姉さんが家に入り、世話をするうちに祖父といい仲になってしまい、そのまま夫婦のように暮らしていた。妻妾同居。年老いて、祖母だけが遠く離れた場所に一人で入院していたけど、どんな気持ちだったのだろうと最近になってよく思い出す。子どもの頃は、家の中におばあちゃんとおばちゃんがいることを何も不思議には思わなかったのだけれど。

 

そんな経緯もあり、視覚障がい者の方には特別な思い入れがあって、結婚前、ボランティアで少しパソコンのサポートなどをしていたことがあった。

 

例えば食事の際なども、メニューを読み上げるとか、最初に手を添えてテーブルの上の食べ物の位置をすべて把握してもらうなど、どんなふうに接すればいいかが少しだけわかる。

 

まぁまた次回ということで。

 

午後はボッチャ。ジャックボールと呼ばれる白い目標球に、赤・青それぞれ6個ずつのボールを転がしたり投げたり当てたりして、いかに近づけるかを競うというシンプルだけど奥深い競技。初級障がい者スポーツ指導員の講習の時に初めて自分でもやってみたけど、想像以上に面白かった。

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まもるさんによるイラストACからのイラスト

 

今日は全国大会に出るほどの実力者の方の練習と試合の立ち会い。腕で投げる麻痺の方は、コントロール云々の前に、球の距離を伸ばすこと自体が難しい。上級指導者の方が、チューブを使った筋力トレーニングなどを提案。また大会時、姿勢を保つための背もたれをどうするか(今は座布団を二つ折りにしている)などを話し合っていた。

 

投げようとした瞬間に、指が思うようにならず、手が止まることもしばしば。それでもすごい集中力で狙ったところにどんどん近づくようになっていった(指導員のアドバイスを受けてみるみる上達していた)。

 

もうひとりの方は、自己投球ができないため競技アシスタントと呼ばれるサポートの方が一人ついて、滑り台のような器具「ランプ」を使用して転がして投球する。サポートの方はコートのほうを見てもいけない。ランプの角度やコースはすべて車椅子のプレイヤーが指示する。ボールを持つことができないので、セットしたボールを指でちょんと押すことで投球をするのだが、これがすごいコントロール!どれだけ頭の中で緻密な計算が行われているのだろうと思う。

 

まぁ当然外す時もあるけれど、意図したところにぴったり止まる。しかしコントロールだけでは勝てないのがボッチャの面白いところだと初めて知った。試合運びや戦術が大切なのだ。自分が勝利していてもういいと思ったら残りの球を投げずに余力を残しておくとか、相手の投げにくいところにボールを置くとかそういうこと。

 

あとは投球時にランプの先が白いラインから出てしまったら反則。車椅子の場合は前輪が踏んでいたらNGというルールらしい。あとは最初に投げる白いジャックボールも、投げてはいけない場所がある。

 

「審判できる?」と聞かれて「できません!」(基本的に自信のない人)と即座に答えたのだが、1セット(でよかったかな?呼び方要確認)見たあとに「やってみて」と言われ、そこは拒否する理由がない。

 

教えてもらいながらなんとかやってみた。競技同様にシンプル。やるのは、ジャックボールから赤・青どちらが近いかを判定して、次に投げるのが赤か青かをしゃもじのような道具で指示するのと、競技途中に「ポイント!」と言われた時に選手に教えること(ボールの位置や数を自分で見えない人もいるので)。「ワンフォーレッド」などのように言う。ボールの距離が微妙な時はコンパスのような器具を使う。または頭の中で二等辺三角形を描いて判断する。

 

今後、パラの予選なども行われるのでボッチャの審判員はかなり不足するだろうということ。あと、お昼を一緒に食べているときに先輩に、地域の体育委員をやっていたという話をしたら、「いいですね!ぜひボッチャとか地域に広めてほしいです」と言われた。

 

最後は二人の試合。見守る人全員が息を呑む緊張感あふれる時間が流れていた。

 

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